2021/09/26 10:50

こんにちは。Pre Washed Beans専門店のタニケンコーヒーです。

お店の紹介でも書きましたが、タニケンコーヒーではコーヒー豆を焙煎する前に
「Pre Wash工程」「欠点豆の選別」の2つの工程を加えています。

なんだか聞きなれない言葉ですよね?
それも当然、「Pre Wash工程」なんて僕が勝手に言っているだけですし、、
どちらとも、やっているお店はあまりないようです。

ただ、これらを行うことで雑味が消え、クリアさとともに
コーヒー本来の味が味わえるようになるんです。

僕は学生時代からコーヒーが好きで、いろいろな店に行ってはコーヒー豆を買っていましたが、
生豆(なままめ)で買ったほうが割安だと知ったことをきっかけとして自宅で焙煎を始めました。
あまり自慢できる理由ではないですね。かれこれ20年ほど前のことになります。

それまで焙煎された豆しか見たことのなかった僕にとって、生豆との出会いは驚きでした。
グリーンビーンズとも呼ばれるだけあって薄い緑色をしていて、
僕たちが知っているコーヒー豆より一回り小さい。焙煎によって大きく膨らんでいくのです。

いつものように焙煎をしていたある日、生豆をまじまじと見てみると、
一見キレイなのですがなんだか少し汚れていることに気が付きました。
ホコリのような、土のような。

洗ったらこの汚れ、取れるのかな?

試しに生豆をボウルに入れ、ジャブジャブ洗ってみると、なんと水が茶色く濁ってきました!
産地によって、赤茶色や黄土色まで水の色はさまざま。中にはドロのようなものが沈殿する豆も。
生産国で収穫や精製をされる過程で現地の土ボコリがついてしまうのでしょうか。

せっかくだから完全にキレイにしてやろう!
そこから水が透明になるまで洗い、乾燥させてから焙煎。
すると、いままで飲んでいたのとは明らかに違っていました。

非常にクリアな、なんというか、コーヒーそのものといった味になっていたのです。

なんだかこれ、お米研ぎに似ていると思いませんか?

僕たちが食生活で当たり前にやっている、お米を研ぐ、余分なものは除く、
それによって生まれる澄んだ味や奥深さはコーヒーも同じで、和食に通じるところがあるのかもしれません。


お米の話になったので、コーヒーも食材として見てみると、
これは自然から作られた農産物なんだなあと思うことがあります。

例えば、虫食いなどのある欠点豆が多かれ少なかれ混じっているのです。

特に、真っ黒に変色した豆や、青くカビの生えた豆。これは見るからに体に悪そうです。

これはどんな味なんだろう?

興味本位でこういった豆だけを集めて焙煎したことがありました。
すると焙煎中からひどいにおいが立ち込め、味もえぐかったり舌がピリピリしたりと
一口すすった瞬間、体が拒否反応を起こして飲み込めませんでした(飲み込まなくてよかった)。

見た目は通常の豆と同じように仕上がるので、焙煎される前がどのような状態だったかを当てるのは難しいですね。
世の中に出回っているコーヒーはどうなのでしょう。。考えさせられます。


と、いちコーヒー好きとしてこんなことをしてきましたが、
今でこそ僕も信頼おける商社からよい生豆を仕入れられるようになり、
また業務用の焙煎機を導入するようになり、コーヒーの味は産地や豆の等級、
そして正しい焙煎によってほとんど決まることがわかっています。

ただ、その上でなお、豆をどのようによいコンディションにするか、
体によいコーヒーにするためになにができるかという、焙煎までの過程もまた大切だと思っています。

というより、手間は何倍もかかるのですが、Pre Washと欠点豆の選別をどうしてもしてしまうのです。
なぜなら、僕が飲むものだし、妻が飲むものだし、友人にふるまうものだからです。

そしてみなさまにも、毎日飲むものだからこそ、虫食いやカビのない、クリーンなものを飲んでもらいたい。
そんな気持ちでタニケンコーヒーをオープンしました。